花粉症
花粉症

スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で起こる、アレルギー性の病気です。
現在、日本人の約20%が花粉症だといわれています。
人間の体には、体内に侵入しようとする外敵(異物)をやっつけようとする働き(免疫機能)がありますが、この外敵に過敏に反応して、無害な花粉にまで免疫機能が働いてしまうと、アレルギー反応が起こります。
具体的には…
などの症状です。
花粉症はアレルギー体質の人に発症しますが、8割は遺伝的な要因であり、20~40代の女性に多いといわれています。遺伝的な素因に加えて住環境や食生活などのさまざまな要因が重なって起こります。
くしゃみ・鼻みず・鼻づまり・目のかゆみが花粉症の4大症状といわれます。
アレルギー反応によりヒスタミンなどの化学物質が細胞などから放出されると、神経や血管を刺激します。
これらの化学物質で知覚神経が刺激されると、「くしゃみ」、「鼻みず」や「なみだ」が出て、さらには「目のかゆみ」、「鼻のかゆみ」なども起こります。
また血管が刺激されると血管が拡張し、血管の壁が緩んで透過性も高まり血液中の水分が周囲の組織に浸み出てくるために、むくんできます。
鼻でそのような現象が起こると、鼻の内部が腫れて「鼻づまり」を起こします。
同じようなことが目の血管に起こると「目の充血」となります。
花粉が引き起こす症状は鼻や口だけではなく、症状がひどい場合は、まれに喉が痛くなったり、発熱する場合もあります。
のどや気管の粘膜に付着した花粉がのどのかゆみや咳の発作を起こしたり、顔など露出している皮膚に花粉が付くと顔がほてったり、ビリビリしたり、湿疹や皮膚炎が起こります。
鼻や口からのどに入った花粉を飲み込むと、胃や腸などがアレルギーを起こし、消化不良や食欲不振が起こることもあります。
その他に頭が重くなったり、ボーっとしたり、倦怠感や熱感、イライラなどの多彩な全身症状が起こり、肉体的にも精神的にも大きな苦痛を伴い、仕事や勉強の効率を著しく悪化させます。
花粉症の原因となる植物は、現在、日本では40種類以上が報告されています。
これらの花粉はほとんど風媒花で、風で花粉が運ばれるため、開花期には大量の花粉が飛散し花粉症の原因になります。
スギやヒノキは大量に植林され、風に舞った花粉は上昇気流に乗り季節風に運ばれて、数十km離れたところまで飛んでいきます。
イネ科牧草(カモガヤなど)やキク科雑草(ブタクサやヨモギなど)も、代表的な花粉症の原因植物ですが、雑草花粉が飛散する範囲は半径数km程度なので、雑草花粉による花粉症は、住まいや職場の周囲の空き地や河原などに原因植物が繁茂していることがしばしばあります。
一方、庭に植えたりお部屋に飾ったりするような観賞用の花は、ほとんどが虫媒花で、虫が花粉を運ぶため、花粉の量は少なく、また、空中に飛びにくいので、お部屋に花を飾る程度で花粉症になることはありません。
アレルギー性の病気は、自律神経のバランスがよくないときに症状が悪化するため、日頃からの心身の鍛練も重要な花粉症対策のひとつとなります。
少しの刺激で体が過敏に反応しないように皮膚を鍛えるには、乾布摩擦・冷水摩擦や薄着の習慣が効果的です。
また、運動を積極的に行うことで鼻の粘膜の血行が良くなれば鼻づまりは軽くなります。(ただし花粉シーズン中の戸外の運動には注意が必要です。)十分な睡眠やストレス解消も大切です。
また、栄養のバランスを考えた食生活を送ると共に、喫煙や香辛料、飲酒を控えるといった心がけも必要です。
診断は、医師による問診が主体になります。発症時期、家族のアレルギー歴、症状の内容、症状の強さ、ほかのアレルギーを併発しているかといった具体的な内容を詳しくうかがいます。
症状のうち、くしゃみと鼻水は密接に関わり合っているので両者をまとめて「くしゃみ・鼻水型」とし、鼻づまりが他の症状にくらべて強いときは「鼻づまり(鼻閉)型」、症状が同じくらいのときは「充全型」に分類されます。重症度はそれぞれの症状の強さから判定します。また、どのアレルゲンに対するアレルギーなのかを特定するために血液検査や皮膚テストを行います。
CAP RAST法
血液を採取し試験管内でアレルゲンに対する特異的lgE抗体を検出します。検査したいアレルゲンを13項目まで選択できます。
RIST法
不特定のアレルゲンへの反応の程度を調べる非特異的IgE検査です。36項目を検査するMAST36、39項目を検査するView39などがあります。
皮膚にアレルギー物質が含まれるエキスを少量滴下し、専用針で皮膚に小さなキズをつけてアレルギー反応を調べる検査です。アレルギーがある場合にはじんましん(膨疹)が現れます。
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